離婚する時に損をしない財産分与

離婚する時の財産分与について考えてみました

離婚後も婚姻中の姓で通す?それとも旧姓に戻す?

今日はお金の話は置いておいて、離婚後の姓についてまとめておきたいと思います。

離婚をする場合、姓の問題をどうするかはけっこう重要です。他にもやらなければならない問題がありますから、早めにかたを付けておくと良いでしょう。

離婚をしてもどちらの姓でも選択できる

婚姻により氏を改めた人(女性)が離婚をした場合(日本では大部分の女性がこれに該当することになりますが)、旧姓に戻るということが一般的だと思いますが、選択の仕方によっては結婚時の氏を離婚後もそのまま名乗ってもいけます。

これはお気づきの方もいるでしょうが、離婚から3ヶ月以内に戸籍法上の「離婚のときに称していた氏を称する旨の届」を市区町村役場に出すことで、結婚していたときの姓がそのまま使えます(婚氏続称制度)。

また、離婚から3ヶ月を過ぎても婚姻時の姓を名乗る許可を得たい場合は、家庭裁判所に「氏の変更許可の申立て」を行うことで、氏の変更許可を得られる場合があります。ただし、家庭裁判所に「氏の変更許可の申立て」を行うには、変更に適正な理由(やむを得ない事由)が必要となりますので注意してください

たとえば、現在は旧姓を名乗っているが、離婚による氏の変更で社会生活を営む上で、不便や不利益が生じているなどの事由が、家庭裁判所を通すと必要になるということです。

旧姓に戻すことに、なんら不都合がなければそれで構わないのですが、離婚をすることで、姓の変更で不都合が生じる場合は、少なくとも離婚の段階でははっきり選択しておくことが望ましいと思います。姓を変えない場合は、期間内に届けを出しておくべきではないでしょうか。

財産分与の仕方がその種類によっても分けられる

先回示した財産分与の種類は、財産分与の対象となるかどうかを表すものでしたが、今回は財産分与の対象にはなるが、財産分与の仕方が種類によって違うというものです。

これも3つに別れますので、それぞれについて見ていきましょう。

まず3つを上げると 【清算的財産分与】− 夫婦の貢献度の応じて分け合う

【扶養的財産分与】− 離婚後の経済生活をサポートの意味をもつ

【慰謝料的財産分与】−通常財産分与とは分ける慰謝料を区別せず、金銭の請求や支払いをする

それぞれ「清算的」「扶養的」「慰謝料的」の3つのキーワードに分かれています。

3つの財産分与について

では、それぞれについて説明しておきましょう。

【清算的財産分与】 財産分与の基本は、妻が専業主婦だった場合でも2分の1ずつに分ける考えですが、たとえば、夫の職業が高度な専門職など(医師や弁護士)の場合、かならずしも半分ずつが公正とはいえません。このような場合に使われる財産分与が「清算的財産分与」です。

【扶養的財産分与】 長いあいだ専業主婦だった妻が、離婚後、職に就こうとしてもなかなか仕事が見つからない場合もありますし、病気などの理由の方は生活が困窮することも考えられます。そのような場合に、生活の保障をするという意味での財産分与が「扶養的財産分与」です。

ただし、「扶養的財産分与」を請求されても、資力がなければ認められません。そのため、夫、あるいは妻の経済力がるかが問題となります。

【慰謝料的財産分与】 本来の財産分与は、離婚原因を作った有責配偶者が支払う慰謝料とは異なるもの。ですが、離婚原因による苦痛に対して、慰謝料的財産分与を行う場合があることは、芸能人の離婚訴訟ではよく見られるケースです。

「慰謝料的財産分与」は別途慰謝料を請求できないケースが普通ですが、慰謝料の請求ができる場合もあるので、専門家に相談してみるとよいでしょう。

離婚までに作られた財産は3つに分類される?

この前の記事のなかで、子どもがおらず、夫婦とも仕事を持っていた場合の離婚の財産分与において、夫婦が各々で貯金をしていた場合をお話死したと思います。結局この妻は夫の貯金も半分分けてと持ちかけたのですが、夫は最後に妻を往なして自分の貯金を守りました。

このようなことは、これからの夫婦関係では多くなるとコメントをしたのですが(生計を一にしていない夫婦)、夫婦ともに収入があり、結婚期間中の生活費をお互いの収入に応じて出し合い、残りを各自で貯金していたようなケースでは、その貯金は「特有財産」として扱われるようですね。

「特有財産」は、結婚期間中に分類される「3つの財産」の一つで、結婚前から夫婦それぞれが所有していたものや、夫婦の一方が相続したり贈与をうけた財産がこれに当たるということで、ようは財産分与の対象とならないもののようです。

財産分与の対象とならない「特有財産」とは

ただ、この説明では、貯金のことには触れていませんので、夫と妻がそれぞれ独自にしていた貯金も、「特有財産」に入るとは書かれていません。したがって、このケースは専門家に相談しないとわからないことだったと言えるでしょう。

また、夫がとった対応は適切なものでしたが、反対に妻に言われるまま、貯金を手放していた場合は、渡す必要もないお金を手放していることになります。財産分与する際は、法律の分かる専門家に見てもらったほうが、やはり良いのだと思います。

なお、「3つの財産」の残り2つは、「共有財産」「実質的共有財産」といって、財産分与の対象となるものです

「共有財産」は夫婦の合意で共有とし、実際に共有名義となっている財産で、明らかにわかる典型例が不動産です。また、家具や家電製品なども「共有財産」に含まれています。

「実質的共有財産」は結婚中に夫婦が協力して取得した財産だが、名義は夫婦のどちらか一方になっている財産で、この典型例がクルマです。

財産分与は50:50が基本だけれど、それが通用しなくなっている話

離婚の財産分与は結婚期間中、夫婦の協力で築き上げた財産を夫婦で分配します。

したがってたとえ夫の名義になっているものでも、ともに築いた財産は財産分与として扱いますし、専業主婦でも妻としてサポートしたことは平等に貢献したと見られることから、専業主婦であっても財産分与は受けられます。

このように婚姻期間につくった財産は、夫婦が50:50で平等に仕分けして良いのが離婚時の財産分与なのですね(もちろん例外もありますがここでは端折らせてもらいます)。

ただし、子どもがいない家庭でともに働いている場合、しかも夫婦共々年収がある夫婦は、上にあるような、双方で50:50と分けるわけにも、特に今後は行かないのではと思います。

最近は生計を一つにしていない夫婦が増えているということ

財産分与について、あるニュースの中で、夫が年収900万円、妻が年収600万円もらっていた家庭の例を紹介していました。この夫婦には子どもがないため、暮らしぶりは相当裕福だったのだと想像します。

まあ、それでも夫のほうは倹約家でもあり、自身の貯金も800万円あったようです。しかし、妻の方は根っからの浪費家で、最終的に夫の貯金を半分寄越せば、きれいに別れてあげるなどと宣ったそうです(離婚の経緯はここでは省略させて下さい)。

しかしこの夫婦の場合、50:50の財産分与はどうしても理屈に合わなくなっています。小さなことですが、家事分担も半々でやっていると言うことで、おそらく同僚にくらべても、妻としての貢献度は、夫自身には感じられないぐらい、ささやかななものだったと想像します。

結局、夫はこれでは最後にバカを見るのは自分だと気づいて、妻の貯金もしっかり開示してくれれが、ちゃんと合わせて仕分けるこをと提案をしました(貯金と言える額がちゃんと残っているかどうかはわかりませんが…)。そしたら、最終的には、貯金には手をつけずに、この妻とは別れられたそうです。

このような夫婦は、最近では増えているのだと思いますが、はっきり言って、このような夫婦の場合、50:50の財産分与はもう通用しなくなっているのではとも思うのです。つまりは、生計を一にしていない夫婦ですね。

じゃあどうするのが良いのかと言うと、婚前契約を交わすということが、これからは必要になってくると僕は思います。きっと…

離婚を考えたら誰でも思う“連帯保証”を止められないかと言うこと

離婚を決めると財産分与で頭を悩ますのは、住宅ローンの保証人を止められないかと言うことで、これは、どちらの奥様でも思うはずです。ただ、これまでの記事を読んだ方には、それが無理と言うことは分かるはずです。

理由は簡単です。離婚は夫婦の契約ですが住宅ローンは銀行との契約です。極端なことを言えば、離婚をすると言う夫婦の都合は、銀行には関係ないことです。そして夫婦の希望通り融資した住宅ローンですから約束通り返済するのが極く普通のことなのです。

ただ、それでも奥様は連帯保証人や連帯債務者から外れたいと思うでしょうし、旦那様も同様にそうしてあげたいと思っているかも知れません。そんな場合、外れる手段が全くないこともありませんので、最後まであきらめず力を尽くしてあげるのもひとつの方法です。

連帯保証を外せる最後の手段はやはりこれ!

配偶者が連帯保証人を止めるには、どうしてもローンを完済する必要がありますが、いちばん可能性がある方法として、考えられるのは住宅ローンの借り換えです。残債が夫単独の年収でも借り換えできる場合は、ローンの借り換えを検討してみましょう。

なお、住宅ローンには借り換えに向く会社もあるので、現在、借りている銀行だけではなく、幅広く検討してみましょう。

ただし、高い車を買って、そのローンを払っている方は、ローン自体が足枷になる場合があります。また、せっかくローン自体は下りるのに、健康状態に問題があって団信生保が通らないこともあります。つまり、ローン審査だけが良くてもダメで、保険の審査は薬の服用などで通らないことも頭に入れておかなければいけないでしょう。

もう一つは、住宅ローンに匹敵するぐらいの不動産があれば、それを担保にして、銀行側も連帯保証を外してくれることが考えられます。誰かに頼んで代わりの連帯保証人をつけるよりも、より確実な方法だと思います。

身内に、しばらく使わない土地がある方は、どのぐらいの価値があるのか調べておくのもひとつでしょう。

離婚後に住宅ローンをどうするかについて考える 〜(3)離婚後の財産分与

さて、先回の記事では、離婚後の住宅ローンは、基本的に名義変更や債務者変更ができないことを説明しました。それでは、この後は、実際に考えられ得る離婚後の生活パターンについて見ていきましょう。

離婚後の住宅ローン「4つのパターン」とは

離婚後、住宅ローンと家やマンションの扱いは大体次の4つに分類されるのではないでしょうか。

1.不動産を売って、その売却益で住宅ローンを返済する

2.妻が住む。名義も住宅ローンも夫のままとし、住宅ローンも夫が支払う

3.妻が住む。ローンを妻の名義で借り換え、不動産名義も妻に移す

4.夫が住む。名義も住宅ローン返済も夫のままとする

このうち 1.と 2.を今回は説明しましょう。

 

【不動産を売って、その売却益で住宅ローンを返済する】

抵当権がついた状態の不動産を売るのは、買い手からは敬遠されますが、引き渡し時点では、抵当権が外れること確約できれば売却は可能です。

ただし、これができるのは、一応、住宅ローンの返済がある程度進んだアンダーローン物件になります。オーバーローン物件でも任意売却という方法があるので、できなくはないのですが、滞納が続いておりローン返済に窮している状態でなければ、銀行側も任意売却を選ばないからです。

なお、住宅ローンを完済後、あまったお金がでれば、財産分与の対象となります。離婚の際の住宅ローンの解決案としては、いちばん理に適った方法です。

 

【妻が住む。名義も住宅ローンも夫のままとし、住宅ローンも夫が支払う】

実際のはこのパターンがいちばん多いのではないでしょうか。

妻に経済的な生活力があれば、ローンも借り換えて新しく出直したいと思うというのが本音だと思いますが、妻が新たに住宅ローンの借り換えをできる状況にないのが一般的には普通です。

ただ、最近では、夫側も離婚後にローン返済が危うくなるケースも増えていますので、それを見越した財産分与も必要になっています。つまり、住宅ローンの返済は夫が続けていくので、かわりに夫が預貯金を多くもらったり、養育費の支払いを少なめにしてもらったりするなどの調整です

こういう調整は、これまでは少なかったのですが、最近では増えています。これも時代の移り変わりと理解しなければならないでしょう。

 

 

離婚後に住宅ローンをどうするかについて考える 〜(2)名義変更と債務者変更はできるか?

前回は、住所ローンが不動産価格より多く残っているオーバーローンと、不動産価格よりも少ないアンダーローンの把握までしたところでした。

では、それを踏まえて次の段階に進むのですが、その前にもう一つ確認しておきたいことがあります。それは巷の関連サイトで言われているような、不動産の名義変更と債務者変更が現実に可能かという問題です。

法律上は、不動産にローン抵当権が設定されたままでも、名義変更(所有権を移転)することは自由なのです。ただ、銀行側は、住宅ローンが残っている間は、名義変更はもちろん、ローンの債務者構成が変わることにも応じてくれないことでしょう。理由は幾つかありますが、何より、融資を決定に導いた審査そのものが、最初からやり直しになるからです。

また、不動産の所有者と債務者が別々になると、返済義務感が希薄になることも銀行側が嫌う点です。融資審査を通すことは、それらも込みで承諾していることを忘れてはいけません。

サイトによっては、銀行の融資体質を理解していない書き方が目立ちますが、離婚をしても柔軟に対応する銀行はまだ少ないと考えるべきでしょう。

ローンを返済したら名義はいつでも変えられる

以上のことから、名義変更、それと主債務者と連帯債務者の変更は、ローン審査上、かなり優良だとされなければ、ほとんどの銀行では受け入れられないと思います。ただし、住宅ローンの借り換えができる場合は、名義変更と債務者構成の変更が可能かと思います。時間はかかりますが、希望されるなら、やってみても良いでしょう。

それと、離婚後は妻が継続してマンションや家に住むパターンが、どちらかというと多いでしょう。この場合は、ローンを完済後に名義を妻に変更できますので、その約束を公正証書で確定しておくと安心です

それをせず、銀行に承諾を得ないで勝手に所有権を移転すると、銀行から容赦なく、ローンの一括返済を求められることもあります。そうならないように、勝手な名義変更は慎まなければなりません。