離婚する時に損をしない財産分与

離婚する時の財産分与について考えてみました

離婚後に住宅ローンをどうするかについて考える(1)

前回の記事では、離婚時の財産分与で対象となる資産についてざっくり説明させていただきました。ただ、これだけの知識では不十分なのは言うまでもありません。なかでも、住宅やマンション、それに伴う住宅ローンの扱いについては、なかなか理解しづらいものがありますし、離婚時の財産分与で頭を悩ます問題です。

ここでは数回に分けて、離婚後の住宅ローン、あるいは建物自体をどうするかについて説明したいと思います。

当該物件を調べてオーバーローンかアンダーローンかをまず掴む

当人同士なら、概ね分かっていることですが、財産分与の前に自分たちの住いの権利関係について、もう一度調べておく必要があります。

そこで必要となるのが法務局に出向くことです。法務局に行くと、土地・建物の登記簿謄本が取れますので、まずこれを取得します。

おそらく物件の権利証は自宅にお持ちかと思いますが、年数が経っていれば登記簿謄本に追加で記載されている事項があるかもしれません。それを調べる意味でも登記簿謄本はやはり必要です。

登記簿謄本では、おもに建物やマンションの名義、持分を確認できます。また、住宅ローンを完済していなければ銀行の抵当権が残っているはずです。登記簿謄本には、住宅ローンの主債務者、連帯債務者が誰かも記載されています。このように、登記簿謄本には名義、持分のほかにも重要な情報が詰まっています。

ただし、ローン残債がいくら残っているかについては、銀行の償還表を見ないと分かりませんので、残債の確認には償還表を確認してください。こちらは、最新のものが銀行で取得できるはずです。

登記簿とローン償還表を確認したら、次は住宅の資産価値がどれぐらい残っているかを不動産会社に頼んで調べてもらいましょう。簡易的な机上査定であれば、無料で調べてくれます。

そして、市場でどれぐらいの価格で流通する物件なのかがわかり、ローン残債がいくら残っているかがわかると、当該物件がオーバーローン物件か、アンダーローン物件かの判断がつきます。つまり、これらの調査は、自分たちの家が、オーバーローンかアンダーローンかの判断のためにも必要なものだったわけです。

【オーバーローン】
住宅ローンが不動産価格より多く残っており、通常なら夫婦のどちらかが住み続けて、どちらかがローンを払い続けるのが一般的。
ただ、家を売って現金化しなければならない場合も出てきて、この場合はどちらがローンの支払い負担するかが問題になります。

【アンダーローン】
住宅ローンが不動産価格より少ないケースで、この場合は、売却で得た利益を夫婦で分割する方法が一番簡単です。
もちろん、どちらかが住み続けて、どちらかがローンを払い続けることもできます。この場合は、ローンの負担、誰の名義にするか、家をもらわない方は財産分与としていくら受け取るかなど、取り決めなければならない問題が生じます

では次回は、オーバーローンとアンダーローンで、離婚後の財産分与にどのような資産の分配方法が考えられるのかを見ていくことにしましょう。